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夕焼け小焼けのチャイムが遠くで鳴り止む。
古びた教会の屋根を薄明かりが包み込み、空と街の境界線が淡いグラデーションに溶けて、思わず立ち止まり、その景色に見入っていた。

街灯がひとつ、またひとつと温かいオレンジ色の灯りをともし始め、夜の気配が優しく背中を押す夕暮れ時。ふと隣を見ると、その夕映えの中で、最後の太陽が君の横顔を琥珀色に縁取っていた。
まるで琥珀色に溶けて、君がどこか遠くへ行ってしまうみたいだった。

いつまでもこのままでいたいのに…。沈む夕日に照らされ、オレンジ色に染まる君と僕は、長い影を重ねて、言葉を失くした。夕闇が君の輪郭を少しずつ淡くしていくのを見つめながら。
街が孤独な色に包まれる頃、僕はあなたを思い出す。

4/8/2026, 11:31:43 AM