終花

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『楽園』

あの柵の向こうがそれだ。
あの手摺の向こうがそれだ。
あの輪の向こうがそれだ。

それは警告音の鳴る線路。
それは遠目に見えるアスファルト。
それはぶら下がる縄。

楽園は、そこにあるのだと思う時がある。

少し越えてしまった向こう側。
うっかり足を滑らせてしまった向こう側。
望んでしまった向こう側。

そう思ってしまう時がある。

楽園は、なんだろうか。
例えば、自由なのだろうか。
例えば、癒しなのだろうか。
楽園は、どこにあるのだろうか。

形の見えないものだから。

あの空の向こうに、憧れてしまう事がある。

4/30/2024, 1:48:08 PM