『迷い、単純』
吸って吐いてを繰り返しているが、呼吸が整う気配がない。
目の前の光景を信じたくはないが、2人から流れる赤がこれは現実だと突きつけてくる。
どうして…どうして、こうなった?
「俺が…迷ったから…?」
目の前の男が口を動かした。が、今の俺の頭はそれを受け付けないようで、何も聞こえない。わかるのは、男が俺に銃口を向けていることだけ。
殺される、そう思った時何処からかクスクスと笑い声がした。
「あの男を殺せば、すべて解決するよ」
後ろから聞こえたのは、嫌に耳に残る甘ったるい声だった。
「殺すだなんて、俺には……」
肩に手を置かれる。悪魔の囁きがまた聞こえた。
「この状況を作り出したのは誰?仲間を殺したのは誰?全部全部……あの男でしょ?
ほら、立って。私がハッピーエンドに導いてあげる」
肩にあった手が腕まで下ろされた。その手に支えられて立つ。
そうだ、全部全部あの男のせいなんだ。なら、倒さなきゃ。俺は……正義のヒーローなんだから。
後ろで響く笑い声が途絶えることはなかった。
【ハッピーエンド】
3/30/2026, 2:52:07 AM