バズ母

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喪失感

母が連れてきた子犬。小さくて暖かい子犬。よちよち歩くその子犬は、兄弟がいない私にとって弟のような存在になった。
暑くても寒くても散歩に行き、寝る時も一緒、時々、お風呂にも一緒に入った。元気がない時は心配し、私が体調を崩した時は寄り添ってくれた。
一緒にたくさん笑った。辛い時、いつも側にいてくれた。

子犬はすぐに大きくなって、そして私よりも早く歳をとっていった。散歩の時間も短くなった。
ごはんもあまり食べられなくなった。
そしてある寒い雪の日、その犬は冷たくなって死んでしまった。

喪失感。心にぽっかり穴があいた。
雪が穴を埋めてくれるだろうか。
雪はたぶんすぐに溶けてまたぽっかり穴が空く。
だから春を待とう。
散歩の時、ふたりで見た桜の下。
きっとピンクの花びらが暖かく穴を埋めてくれるだろう。

9/10/2023, 12:39:27 PM