いつの間にか道端に咲いていたタンポポも、綿毛になっており、たまに風に乗って飛んでいるのを見かけるようになった。もうすぐ夏が来るなぁと思いつつ、綿毛が遠くに飛んでいくように、私もどこか遠くへ行ってみたいとも思った。
「二人でさ、いろんなところに行きたいね」
「そうですね、俺も様々なものを見てみたいです」
散歩している時にタンポポの綿毛を見て、彼とそう話した。彼と一緒なら、どこへ行っても楽しくなりそうだし、幸せなはずだ。
「私もあの綿毛みたいに、風に乗って飛んでみたいなぁ」
「おや、俺は少し困りますね。そこまでお転婆になってしまったら、貴方とはぐれてしまいそうです」
「大丈夫、あなたの傍からは離れないから。心配だったら手でも繋ごうか?」
そう言って私が右手を差し出すと、彼は照れくさそうな顔をしながら私の手を取った。
テーマ「風に乗って」
4/29/2024, 12:08:08 PM