空想

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機械のように同じ行動をして、同じ一日を過ごして、それに対して何も思わなくて、私はそれでいいのだろうか。
教室の窓から見える一本の木を見てそう思った。分からない。なんであの木を見てそう思ったのか。
何の変哲もない木にハッとさせられてしまった。
他の木から離れ一本で佇む孤独な木。葉も落ち、数えられるぐらいしか葉が残っていない見窄らしい木。
哀れな木が陽の光に当てられ、輝いて見えた。
まるで私が主役なんだと、疑っていない。見せたくないはずの部分を隠さずともアレは輝いて、生き生きしている。
私とアレは似ているはずなのに、アレは私に持っていない光を持っている。似ているようでぜんぜん違う。

私もアノ木のようになりたい。どうしたら貴方みたいになれるの?尋ねようにも私の声は届かない。

私はこれからどう生きればいいの?私はなぜ生きているの?私の生きる意味は?

一つ疑問が出てくると、次から次へと湧き出てくる。
疑問はモヤモヤするはずなのになぜだかワクワクする。

どうして!なぜ!

じっとしてはいられない。帰りのホームルームが終わった途端に教室から弾けだされ、走り出す。この気持ちの高ぶりをどうにかしたくて目的地もないまま、やみくもに走って、息が切れても、足がもつれても、走り続ける。

たどり着いた先には多くの観客が待っていた。

スタートを合図するブザーが鳴り響き、幕が上がる。
今夜、新たな物語が始まる。
どん底から頂点へ這い上がる一人の女優の物語が!

4/28/2024, 1:43:47 AM