題 お金より大事なもの
大事なの、あなたのことが。
だから、絶対に誰にも譲らない
私は豊を見てそう考えていた。
頑張って頑張って付き合ってもらえた彼氏。
だからこそ、誰が奪いに来たとしても死守するよ。
「どうしたの?」
甘やかな優しい声で言う豊。
黒髪はつややか、甘い端正な顔つき、スラリとしたスタイル。
私と付き合ってもらえたなんて未だに信じられなくて。
私だって頑張って自分を磨いて、磨いて沢山頑張ったけど。
それでも、あなたに手が届くとは思ってなかった。
「ううん、豊っていつ見ても素敵だなって」
私はニコッと笑ってそう言う。
「ありがとう。君もきれいだよ」
豊は私に美しい顔で囁くように言う。
それだけで、私は天にも昇る心地だ。
「豊、私あなたのこと一億で諦めてって言っても諦めないよ。100億でも、100兆でも諦めない」
「君にそう言われると嬉しいな」
豊は、私の手に自分の手を重ねた。
「僕も、君のこと、何億積まれても諦めたりしないよ」
「あ・・・うん・・・」
いざ、自分が言われると、破壊力が凄い。
豊の美しい顔を見ながら、私はくらくらとめまいを覚える。
「君と付き合えて、僕は幸運だよ」
「豊っ、もうそれ以上言わないでっ」
私は言葉の破壊力にダメージを受けて懇願する。
「私が豊の言葉に弱いの知ってるでしょ・・・」
上目遣いで豊を見ると、彼はフフッと笑って微かに首を傾げた。
「知ってるけど、君の反応見るのが好きだから」
私の顔が一気に真っ赤になる。
ちょっと意地悪な所も大好きだ。
負けっぱなしだなぁ。
恋愛に勝ち負けはないかもだけど、豊には一生勝てる気がしないと思ってしまった。
ニコニコと笑いかける豊を見ていると自然と私も笑みがこぼれる。
負けてもいいや。
そう思って、顔を上げると私は彼の大好きな顔を心ゆくまで鑑賞したのだった。
3/8/2024, 11:37:00 AM