淡くて、小さい、可愛い花弁の下に
───毒を持つ。
淡い紫が似合うあの子もちょうど六月生まれ。
ああ、もしかしたら。
園芸ばさみが、茎を断つ。
ばつん、ばつん、ばつん。
鬱屈してるのは、天気だけ?
散らばった緑の葉っぱだけがペールトーンの部屋の中でやけに色鮮やかだ。
いつの間にか回りきった葉っぱの毒が、化学反応で私のことを変えちゃったのかもしれない。
首だけになった紫陽花を花瓶に活けながら、ぼんやりそんな事を考えてみる。
細切れになった葉っぱと茎は、ちり取りで集めて、ごみ箱に捨てた。
『紫陽花』
6/14/2024, 8:30:55 AM