久遠 翠。

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ベッドの軋む音、火照った頬、荒い息遣い、何回目かも分からない行為は私を満たした。

「豊くん、もう帰るの?」
「そろそろ帰らないと、明日も仕事だし」

そう言って笑う彼は、格好良い。
彼とは、友達が紹介してくれたことがキッカケで出会った。
話が合って、優しくて、気づいたら私達は一緒にいた。

「豊くん、ちゅーして?」
「また今度ね」

そう言って私の頭を撫でては荷物をまとめる彼。

「また連絡するね、だいすきだよ」

そう言って部屋を出ていく彼は、本当にずるい人で、でも嫌いになれなかった。
私ばかりが豊くんの沼から抜け出せなかった。
豊くんが居なくなった部屋で、しばらく、だらだらと過ごしていると、電話が鳴った。
相手は、豊くんを紹介してくれた友達だった。

「もしもし真緒?どうしたの?」
「私、浮気されてるかもしれないの」

不安がる友達に、大丈夫だと心の底から思った。
豊くんは、本命にしかキスしないから。

「それは、大丈夫なんじゃない?豊くんは、真央一筋だもん」



《二人だけの秘密》

5/4/2024, 2:30:03 AM