しるべにねがうは

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懐かしく思うこと

「あ、ポリキュアやん懐かしのォ」
「なんですのそれ」
「俺ライダーの方が好きだったからわかんない」
「なんですのそれ」

新顔の電気狂い・蛸嶋の買い出しで電気屋に来ている。
これはテレビの前を通った時の会話だ。大型テレビに映されるアニメキャラクター。これ小さい頃は憧れるよな。あんまり近くで見ないようになる気もする。だって全体が見えないし。
今は組織のボスごっことかホームシアターいいよな〜って思う。
柳谷邸はテレビがない。割とメカメカしい部屋が無いわけではないのだが、昭和で時が止まっているのかと思うレベルで文明が止まっている。石蕗さんの趣味だろうか。もしくは先祖代々の柳谷当主の趣味か?そんな家なのでお嬢がちびっ子向けアニメーションについて詳しくないのも当然である。
逆にパソコンオタク(この言い方も古いんだろう、蛸嶋君にはサイバー対策最前線のエンジニアやぞ!!と怒鳴られた)の彼がわかるというのが驚きである。ライダーでも戦隊でもなく。

「蛸嶋君ポリキュア好きなの?」
「グッズの転売ヤーの通報祭り参加者ってだけや」
「ポリキュアとライダーって何ですの…」
「日曜朝の子供番組枠。基本女児向けと男児向け」
「儂ァ戦隊ヒーロー派やった」
「また新しい派閥が」
「今は何放送してんだろ」
「……ずっと同じものがやるわけではないんですの?」
「一年くらいで新しいシリーズが始まる」
「忙しいですわね……」
「現代の娯楽消費スピードは恐ろしいほど速いからなァ、柳谷女史にゃついてけんのやろ」
「低学年向けですのよね?一週間に30分が一回なら十分ついていけるのでは?」
「ポリキュア、観るのかお嬢」
「修行の道は険しいで柳谷女史」

お前はポリキュアの何を知っているんだ。
その認識は屋台の水飴より甘いぞ。

同じことを考えたのか蛸嶋君と声が重なる。

だってポリキュアだぞ。
あのころ毎週ライダーをみていただけの僕でさえ赤ポリの必殺技を言えるぞ。今思い出してもなかなか重い世界観だった。なんであれ女児向けで一年やっていけたんだろう。
一月に二人くらい死人が出てた。チャレンジャーすぎる。
作中で死んでしまったキャラがエンディングの時に天使の輪と羽が生えた状態でめちゃくちゃ楽しそうに踊る演出が好きだったけど今思うとどうなんだよよく放映できたなあの時間に。



かひつします

10/30/2024, 11:10:14 PM