ピンポーンと軽快な音がリビングに響く
「はいはい」と言いながらインターホンまで小走りで行く
モニターにはキャップを目深にかぶった男の子とも女の子とも言える子供が立っていた
(誰だろ?)
首を傾げるがそんな事で誰かわかる筈もない
とりあえず話してみようとモニター近くのボタンを押す
「どちら様ですか?」
『えっと…その…』
もじもじと恥ずかしそうに言い淀む子供は声からして男の子だろう
「ゆっくりで大丈夫だよ」
私のその声に彼は安心したのかゆっくりと深呼吸を1度した
『あの、僕…
貴女の子供で…』
「ちょっと待ってて!!」
彼にそれだけ伝えるとバタバタと足音がするのも気にせず、玄関に走って行った
ガチャ!っと勢いよく玄関ドアを開ける
門扉の所に立っている彼はどうしていいのかわからずオドオドしていた
あれだけ急いだのに子供に近付く足取りは遅くなる
自分に近付く私に気が付いたのか彼は私の顔を見つめる
お互いを見つめ、いくつの時が過ぎた頃 口火を切ったのは彼の方だった
「えっと…初め…まして?」
「初め…まして…」
子供の顔をしっかりと見つめ、挨拶を返すが涙が止まらなかった
(この子は間違いなく私の子だ…)と直感でわかったから
「抱き締めても…いい…?」
「はい」
おずおずと私に手を伸ばしてくる子供を真綿で包む様に優しく抱き締めた
泣きながら抱き締める私を彼は優しく抱き締め返してくれた
突然の君の訪問に私は嬉し過ぎて泣いてしまった
8/29/2024, 11:56:25 AM