彼女の膜を通過して
私は生まれた
歪な愛に守られて
私は育つ
彼女は異物を排除した
私は彼女の大切な大切な
もう一人の彼女であること
それが最も価値のあることだと
教育されて大人になった
大人になった私は
膜を容易く貫くことを覚えた
嘘の愛で汚したかった
彼女が大切にしてるもの全部
壊して踏みにじりたくなった
いつだって私は
心の中で叫び声をあげていた
でも、彼女にその声は届くことは無いから
男に預けた肉体で喘いだ
私に価値なんて無くても
抱きしめてよ
ねぇ、お母さん
#88「フィルター」
9/9/2025, 11:59:58 AM