とある恋人たちの日常。

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 透明感のある異質な世界。ここは神様の住まう場所。

 そんな中、異質でレトロちっくな部屋に一際珍しい音がジリリリリンと鳴り響く。
 それはスマートフォンが世界に浸透した世界なのに、家主は時代遅れも甚だしい電話の音だった。
 
 細身の手が古めかしい黒電話に手を伸ばす。
 
「もしもし」
 
 どこか艶やかな声が響き渡る。
 受話器越しに聞こえてきたのは、少し前から気にしている男女の様子を知らせてくれる連絡だった。
 
 お互いへのリスペクト、思いやりを持っているふたりが、心が通じ合い恋人になって時間が経つ。
 
 年末年始に青年が忙しそうにしていたけれど、落ち着いて過ごしているらしい。確認する限り、小指の糸の色が鮮やかな赤になっているとのこと。
 
 神様は満足そうに微笑み、「ありがとう」と告げるとガチャンと重そうな音を立てて受話器を置いた。
 
 あのふたりは、神様の清涼剤。
 
 ケンカをする訳じゃない。
 お互いを想うから怒り、相手は反省して身を寄せ合う。
 
 それを聞いて心が落ち着いた。
 
 色々なものを見守る神様にだって楽しみは欲しいんですよ。
 
 
 
おわり
 
 
 
二三七、Ring Ring……

1/8/2025, 1:07:17 PM