『ルール』
その街の公園には、幾つかの注意事項が書かれた看板が立っていた。
「鳩や猫にに餌をやるな」等のありふれたものの後に、手書きでこう付け加えられた一文がある。
【午後の四時四分、ベンチで足を組んではならない】
通りがかった青年は鼻で笑い、あえてその時間にベンチに腰掛け、足を組んだ。
すると周囲の喧騒がふっと消え、噴水の音も、子供の笑い声も、風の音さえもしなくなった。
見上げた空には、それまで飛んでいた鳩が空中で静止している。まるで透明な樹脂に固められた標本のようだった。
焦った青年は足をもとに戻そうとしたが、体は石のように動かない。
少しすると、看板の脇に人影が現れた。公園の管理人らしき老人だ。
やれやれ、とでも言いたげな顔で看板の端を指さしているが、青年には他よりも小さく書かれたその文字が読み取れなかった。
【もし、このルールを破った者は】
そんな書き出しで始まる内容を知ったら、きっとこんなことはしなかっただろうに。
4/25/2026, 9:39:34 AM