スマホを空中に向け、カシャッとカメラを鳴らす。
何回も。何回も。それを繰り返す。
ひらひらと舞い落ちる真白な雪を、次々と四角い画面に閉じ込めていく。
儚げなこの雪の美しさを、少しでも手元に残せたら──なんて、そんなたいそうな理由で撮り始めた訳ではないけれど。
コートの袖口から覗いた指先が、痛いくらいに冷たくて。
麻痺したような感覚が、じんわりと熱を持つほどだったから。
その熱につい浮かされて、いま目の前に積もる冬の光景を、変わらぬままに捕らえてみたくなったのかもしれない。
【寒さが身に染みて】
1/11/2023, 2:42:11 PM