桜旧校舎の日常

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流星群を見に 君と2人で屋上に訪れた。

「明日世界が終わるなら 何を願おう」

突然  君が流星群を見ながら ぽつりと呟いた。

呟いた君は 星に呑まれるような気が そのまま 
消えてしまいそうな気がした。

だから 俺は焦った様にこう言ったんだ。

「君がいるなら 俺はもうそれで十分だ。」
                    って。

そしたら君が こっちをみて 
見透かしたように笑うから 恥ずかしくなって。

俺は拗ねたように俯いてると

「私もだよ。だから 最後までよろしくね。」

そう言った君は なんだか寂しそうに笑っていた。

俺らは 知っている。
この日常は いつか思い出になることを。
いつか 結末が来ることを。
本を読み終えるように ゆるやかに 気付かない内に

「最後なんて 言うなよ。」

「ふふ、私達に結末はいらないかもね。」

あぁ、君はずるいな。
言えないことを 君は平気で言うんだからさ。

5/7/2023, 9:04:49 AM