ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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巡り会えたら

この脱力感。つまらなさ。ありきたり。凡庸。どうでもいい。人間の欲望のあさましいこと。まあ毎度のことだな。そう思いながら書類を分類する。ここは基本的に人間の願いをかなえるとこなの。

幸運に巡り会いたいみなさんはこっちの山。不運に巡り会いたいみなさんはこっち。割といるんだよ? あと驚きがほしい人はこっちの山。特にそういうの望んでない静かに穏やかに暮らしたいみなさんはこっちの山。で、ここのすっごい少数派は「巡り会いたくない」みなさん。じゃないな、ほぼひとり…? だよね、確認したよひとりだ。何度輪廻しても願いが「巡り会いたくない」なんだよ。この人どういう人なんだろう。

転生事務局の祈祷申請課で私は一枚の書類を見つめる。私は一介の下っ端天使だけど、この「巡り会いたくない」人に巡り会ってみたい。すっごく迷惑がられそうだけど。というかこの人のことやたら気にしてたらこの部署クビになりそうな予感。

10/3/2024, 10:43:49 AM