深夜、空が輝きを放ち、まるで昼間のように明るくなった
空の色は金色で、神々しい
さらに大きな鐘の音が聞こえる
何が起きているのだろう?
しばらくすると、厳かな空気感の中、豪奢な衣装に身を包んだ女性が降りてくる
いや、降臨したと言うべきか
ひと目で理解した
女神だ
女神が地上に降臨したのだ
「我はメウファレニエ
幸福を司る女神である
これより、そなたたちの日々の努力を称え、強大な加護を与えよう」
加護か
どんな加護をもらえるのだろう
そんなことを考えていると、女神が力を発揮したのか、鐘の音がだんだんと大きくなっていく
なんか、空の輝きも増してきたような
うーん、正直けっこううるさいし、目を細めたくなるくらいには眩しいな
そんなことを考えていると、近くの家からひとりの男性が現れた
「女神様、加護を与えてくださるのは、本当に身に余る光栄なのですが、少し言わせていただきたいことが……」
申し訳なさそうに男性が女神へ言う
それに対して女神は優しく微笑んだ
「許そう、遠慮せず申してみよ」
「では」
男性は目を閉じてスゥー、と息を吸い込むと、カッと目を見開く
「今、何時だと思ってるんですか!
深夜の2時ですよ!?
みんなが寝静まってる時間になんでわざわざ降臨してるんですか!
空は明るすぎるし、鐘はうるさいんですよ!
加護を与えてくださるのはありがたいですけど、時間を考えてくださいよ!
明日、私も妻も仕事があるんです!
そして何より、子供が起きちゃったじゃないですか!
怖がって泣いてましたよ!
どうしてくれるんですか!
今やるべきことですか!?
事前に告知して、休日の昼間とかにやってくださいよ!」
そのマシンガン並みの説教に、女神メウファレニエは涙目になって、申し訳なさそうにしている
すげえ、この人神を泣かせたぞ
空の輝きと鐘の音が収まっていく
「ええと、すまなかった
そのあたりのこと、あまり考えてなくて、みんな頑張ってるから、つい勢いで加護与えようと思っちゃって
あの、迷惑かけてごめんなさい
出直してきます
演出も控えめにやります」
女神メウファレニエはしょんぼりしながら帰っていた
うん、なんか女神が可哀想だったけど、あの人の説教の内容は至極まっとうだったな
それにしても神に説教とは、勇気ある人だな
2/17/2025, 11:14:00 AM