ミキミヤ

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光を浴びて、重の中で鰻がキラキラと輝いて見える。食べ物を宝石に例えるグルメレポーターがいたけども、まさに宝石のような美しさだと思う。タレのテカリが旨そうに鰻を輝かせているのだ。

俺は「いただきます」と手を合わせ、箸を手に取った。
箸で鰻を一口大に切り、その下のご飯と一緒に掴みあげる。そして、口の中に入れて、咀嚼した。
鰻はとろりふわりと柔らかくほぐれ、ご飯と一緒になって、口の中で踊っている。甘いタレが、ご飯本来の素朴な甘さと合わさって、旨さを引き立て合っている。うまい。
2口目、3口目と、口に放り込んでいく。うまい、うまい。

脇に添えられた肝吸いもいただく。
汁を一口含めば、出汁の香りと程よい塩味が口の中に広がる。肝は独特の食感で、噛めばほろ苦い旨味がやってくる。これもうまい。


全て食べ終えて、「ごちそうさまでした」と手を合わせた。うまかった。身体に沁み渡る旨さだった。


月に一度、金曜日の夜、こうして鰻に舌鼓を打つのが俺の習慣だ。
何があっても、どんなに疲れて帰っても、タレを纏った鰻のあの輝きを目にすれば、気分は高揚し、食せば旨さで満たされ、1ヶ月の疲れが全て報われた気持ちになれる。

今夜の鰻もうまかった。
俺は伸びをしつつ、その余韻に浸った。

2/18/2025, 1:06:20 AM