「ごほん ごほん
えー みなさま
本日は『私』のお葬式に御出席いただき、
まことにありがとう御座います。
『私』からみなさまに直接御挨拶をと思いましたが、
御覧の通り話せる状況ではありませんので
誕生日を迎えたての私から
メッセージを送らせていただきます。
みなさまには『私』はどのように映っていましたでしょうか。
『明るくて、真面目で、元気で、涙もろい』
という感じでしょうか。
『悩みなんてなさそう』
なんて言われたこともありましたね。
その時は笑って、そんなことないよと言いましたが
内心は傷ついておりました。
『私』だってみなさまと同じように悩んでいました。
私は『私』というやつのことが
一番理解できませんでした。
他から『明るい・元気』と言われました。
そうそう『私』は明るくて元気な子だと思うと同時に、
それが仮面な気がしてなりませんでした。
また、『しっかりしていて真面目』と言われました。
分かる、『私』ってしっかり者でまじめって感じよね
でも、それが演技な感じもしてくるのです。
『お喋りだ』とも言われました。
何でもかんでもあったこと・感じたことを
ぺらぺらと話しますものね。
でも、全部を話している訳でもないですし、無言の空間が耐えられなく、みなさまに楽しんでもらわなければという気持もあるのです。
友達と話している時、とても楽しかったです。
もはや脳ではなく脊髄で話していました。
心の底から本当に笑っていました。
しかし、バイバイと友達と別れると
付き物が落ちたように、すっと表情が消えました。
私ですらさっきの笑いは嘘なのかと疑う程です。
人によって態度を変えていました。
いや、変わっておりました。
誓って言います。わざとではないのです。
お喋りな方でしたら聞き役になり、
話さない方でしたらお喋りになり、
おとなしいグループでは進んで笑われる行動をとり、
明るいグループではツッコミ役を買ってでました。
今日の参列者で初対面の方と話してみると、
『私』の印象が微妙に違うかもしれませんね。
みなさまからみる私は1人しかいないかもしれませんが、
1番『私』のそばにいる私から見ると
何人もいる気がしてなりませんでした。
1人になると、よく考えました。
本当の私は一体どれだと。
自分は明るいのか暗いのか何者なのか
年々分からなくなっていきました。
友達を信頼していましたが、
これを打ち明けられるのは母だけでした。
母は『私』と同じようなタイプでしたので
よく理解してくれました。
分かっています。
私が『本当に辛くて…』と話せば、
みなさま親身に話を聞いてくれていたことは。
こんな私を見せたくなかった・見せられなかったのと、
みなさまも見たくないと思うからです。
なので、愚痴を笑い話にしながら零しても、
本当に辛いことはひた隠しにし、
悩みは自分で消化しようと必死になりました。
心のうちは泣きながら、
本当に辛い話を笑い話に変えていました。
私はむしろ話せる人が1人でもいただけ、
幸せなのかもしれません。
しかし、最後に少しでも
みなさまが見れていない私を
理解してほしかったので、
お葬式でこの話をさせていただきました。
きっと私が知らないだけで同じような方も
いらっしゃると思います。
私自身どうしてほしいのかは分からないので、
対応の仕方をお教えすることはできませんが、
頭の中はきっとこのような感じです。
『私』に似た人に出会ったときに、
『私』のことを参考にしてくだされば嬉しいです。
『私』を信頼してくれていたみなさま
本当の私を見せることがずっと出来ず申し訳ないです。
本当に面倒くさい人でしたが、
本人に代わって言わせてください。
ありがとうございました。
メッセージをここまで書いていた私は
『私』の人生に戻ろうと思います。
『私』を愛してくれたみなさま
それではサヨナラ」
〜サヨナラを言う前に〜
8/20/2024, 7:14:56 PM