—木漏れ日の下で—
僕の学校には、大きなケヤキの木がある。そこの下は『ケヤキ広場』と呼ばれていて、みんなの溜まり場になっている。
四限が終わり、友人と弁当を食べるために、僕はケヤキ広場に向かった。
「一番乗りか」
授業が少し早く終わったせいか、まだ誰も来ていない。とりあえず、木の下に腰掛ける。
ふと、木漏れ日に照らされた何かが目に入ってきた。手に取って見る。
「これは……、髪飾りか」
一輪の白い花の、綺麗なヘアアクセサリーが落ちていた。きっと誰かが忘れたんだろう。
「あっ、それ私のです!」
膝に手をつき、息を整えながらその女子は言った。走ってきたようだ。
「はい、どうぞ」
「見つかって良かった。ありがとうございます!」
その女子は、また走って校舎の方へ行ってしまった。そしてその女子と入れ違いになるように、友人はやってきた。
「今の誰?まさか……」
「いや、ただ忘れ物を拾っただけだよ」
そう言うと、怪訝な表情を見せた。
その後しばらく、詰問が続いた。話すことなんて何もないのに。
お題:木漏れ日の跡
11/16/2025, 8:40:56 AM