「バツイチなんですか?」
初めて会った人にいきなり言われて驚いた。
「はい、そうですけどどうして…」
「いや顔に書いてあったんで」
聞くのは失礼かと思ったけれど、わざわざ顔に書いてあるってことは何か意味があるのかとも思い…とのこと。
さっきからすれ違う人々がちらちら俺を見ていたのはそういうわけか。トイレの鏡で確認。ほんとだ、右頬に薄墨くらいのかんじで「バツイチ」文字通り。
なんでだよ。書いた覚えも書かれた覚えもない。
まぁ別に事実だしな。隠す気もないけど。
その後も時々聞かれはするが、そこから根掘り葉掘りプライベートを詮索されることも特にない。自分としては深く長いストーリーが横たわってはいるけど、他人からしたら「そうなんですね」ってだけなんだよな。
気をつけて道行く人々の顔をみてみたら、時々同じように「バツイチ」さらに「バツ2(3や4も)」と頬に表示されてる人がいて、思ったより数も多かった。
人の一属性に過ぎないことだよな。別にデメリットもなくて気にならなくなった。
思えば結婚すると人は自分から指輪をして表示するよな、昔から。あれと同じか。内容は逆だけど。IQとか年収とか、余命とかが表示されるよりマシか。いや、意外とそれも気にならなくなるものかもな。
本人にとって重要なことでも、他人の属性なんて「そうなんですね」って程度のことなんだろう。
余計な関心をもって勝手なジャッジしなくなるなら、日替わりでみんな何か表示されてみるのもアリかもな。いい出会いがあるかもだし。
「不条理」
#365
3/18/2024, 10:29:58 AM