《巡り逢うその先に》
第2章 ⑥
主な登場人物
金城小夜子
(きんじょうさよこ)
玲央 (れお)
真央 (まお)
椎名友子 (しいなともこ)
若宮園子 (わかみやそのこ)
向井加寿磨 (むかいかずま)
ユカリ (母)
秀一 (義父)
桜井華 (さくらいはな)
高峰桔梗(たかみねききょう)
樹 (いつき)
柳田剛志 (やなぎだたかし)
横山雅 (よこやまみやび)
京町琴美(きょうまちことみ)
倉敷響 (くらしきひびき)
葛城晴美 (かつらぎはるみ)
犬塚刑事 (いぬづか)
足立 (あだち)
黒鉄銀次 (くろがねぎんじ)
【星空】
高峰桔梗と葛城晴美は無事に警察学校を卒業し晴れて警察官になった。
しかも、桔梗は授業と実習で、晴美は実技でトップだった。
おまけに、晴美の二輪走行の腕は群を抜いていた。
桜井華はふたりの卒業を祝ってくれた。
「凄いじゃないか、ふたりとも私と同じ警察署に配属されたから、署内では君達の話題でもちきりだよ。桔梗は警察官に向いているとは思ったが、まさかこれ程迄とはさすがに思わなかったよ。葛城君も特にバイクの腕前は教官以上だったらしいな、驚いたよ。これからは、同じ警察署員として一緒に市民の安全を守っていこう」
やっと華さんと一緒に仕事ができるんだ。そして、黒鉄銀次を逮捕するんだ。
緊張の中初出勤を迎えた。桔梗は華の先輩でもある高見巡査と駐車違反の取り締まりなどを行った。
一方、葛城晴美は白バイ隊員の訓練生として、養成所で訓練を受けることとなった。大抜擢である。
そして一年後、星空のキレイな夜に事件が起きた。
桔梗は高見巡査と、華は3年目の若い巡査と警ら中、猛スピードで大通りを走り抜ける車がいると連絡が入った。
車は桔梗達のいる方へ向かっているようだ。
さらに入った連絡によると、暴走車は銀行強盗の容疑者が逃走中なのだとわかった。
「高見先輩、桜井です。私達もそちらに向かってます。港に誘導して逃げ道を塞ぎましょう」
「了解、絶対に捕まえるぞ」
地元の道を熟知している華達にとってはそれ程難しい事ではなかったが、車両2台では、難しいと言わざるを得ない。
「しまった。この先の交差点で左側を塞いで右折させなければ逃げられてしまう」
その時、後方から白バイが猛スピードで華たちを追い抜いて行き、左側にプレッシャーをかけ右折させた。
「よし、これで奴等は袋のネズミだ。応援のパトカーも合流してきた。華、慎重にな」
「了解です。桔梗の事お願いします高見先輩」
「もちろんだ」
行き場を失った車から容疑者達が3人現れた。
「手を上げて後ろを向きなさい」
犬塚刑事が犯人に告げると3人はおとなしく従った。
ホッとした隙をついて車の中からもうひとりが勢いよく飛び出してきた。
主犯格と思われる男はナイフを持ち突破しやすそうな場所を見極め突っ込んでいった。
「桜井!」犬塚刑事が叫ぶ。
「ドケドケ退け!」男はナイフを振りかざして華めがけて突進していく。
すると、華も男に向かって走りだした。
これには男もビックリしたようで一瞬ひるんだ。
その隙を逃さず華は一本背負いで男を投げ飛ばした。
「悪いな、こう見えても私は柔道五段なんだ」
「華さん、伸びてるから聞こえてませんよ」
「桜井よくやったなお手柄だぞ」
「ありがとうございます」
「桜井先輩すごーい!」
少し離れた場所からこちらに向かってくる人がいる。
「あれは、葛城君じゃないか、さっきの白バイって葛城君だったのか?」
「お久しぶりです。皆さんのおかげで白バイ隊員になれました。これからもよろしくお願いします」
このあと、夜中まで女子会が続いたのは言うまでもないだろう。
つづく
7/9/2024, 8:42:58 AM