びゅおう、と脇の下を潜り抜けるようにして、
不躾な風が通り過ぎていく。
私の髪を散らかして、整えもしないただの暴走族。
マフラーの隙間を縫うようにして、
わざわざ首に触れてきては「俺は冬だぞ!」と叫び
ブルンブルンと勢いよく吹かせている。
腹が立ったので、家に着いたなり要らないチラシを
新聞の間からひったくって紙飛行機を折る。
空き地めがけてベランダから飛ばせば、
暴走族の肩に乗って紙飛行機はぐんぐんと前に進んだ。
お前のバイクと私の紙飛行機は同じスピードなんだ。
ざまーみろ!と呟けば、風は不服そうに
私の髪をぐちゃまぜにした。
「追い風」 白米おこめ
1/7/2025, 2:20:02 PM