心とはなんだろうか。夢を見るとはなんだろうか。どうすれば自分は生きる覚悟をもてただろうか。
長らく点けっぱなしのテレビから、人道に非ざる行いと半ば焼け焦げた子供を囲み見せつつ糾弾する複数の蛙の音声を聞く。口にたまりきった唾液はヘドロのようなエグみを訴え、薄く開いた口元からこぼれだす。己の眼窩が腐り落ちる様を見る。隣の己は手足を短くして耳を塞いだ。まだ大丈夫だ。人道に非ざると復唱する。
昨日の自分は斧を持った。今日の自分は手を失くした。明後日の自分は耳を削ぐ。
一年前の自分は男の首を落とした。落ちた雁の首は革命の英雄だった。十二8つの目が僕を見る。煌やく明日は誰のためにも為らずと囁いた。俺の世界は変わっていった。
人道に非ざると復唱する。
僕は溶けたマーブルの空を練り歩く。俺の頭が抜け落ちて電球が割れた。割れたガラスに僕のウランが解けた。沢山の自分の頭が融合する。万華鏡を覗き込んだら目が焼けた。
人道に非ざると復唱せよ。
僕の部屋は暗かった。目の前の自分の指先も見えないほどに。
俺は自分を正当化しようとした。僕が僕であるための罪。お母さん、お母さん、お母さん。
俺は、俺はそこにいない。歩く。
ドロドロと滞留する、音には成らない喧騒が沼地のように足を取り、己の頭はその叫喚を聴く。忘れ去った自分の傷の根を探す。俺はまだ夢を見ている、心を見れずにいる。
4/17/2024, 8:20:19 AM