日々家

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最初から決まってた

私は誰も居ない椅子に向かって、「大嫌い」と呟く。するとポロポロと涙が溢れ出してきた。
「大嫌い。ほんと、だいきらい……」
蓋をしていた感情が一気に体を駆け巡り、息を奪うような苦しさと止まらない涙の洪水に襲われる。
「一人にしないって言ったくせに」
居なくなる事が最初から決まっていたなら教えてほしかった。
君のことなんて好きにならなかった。
二人で居る温かさを知ってしまったから、寂しさが化け物みたいに覆いかぶさる。
「人間は嘘つきだ」
――垂れ下がる尻尾は君の声でしか上がらないのに、もう君の声はどこからも聞こえない。
「なんで人間は、私達獣人より短命なんだ……」
ああ、叶うなら、優しく名前を呼んでまた頭を撫でてほしかった。

日々家

8/7/2024, 11:34:59 AM