名無しLv.1

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「ひとを殺したって言ったらどうする?」
「通報する」
即答だった。一瞬の逡巡すら感じなかった。
「その場は適当に宥めすかして、逃げてから通報する」
やけに具体的である。なんというか生々しい。
「一緒に死体埋めてくれるか聞きたかったんだけど」
「免許持ってるやつに頼めよ」
それはそうだ。車がなければ埋めるとこまで辿り着けないだろう。だがそういう話ではない。
「誰に頼まれたら死体埋めを手伝うかって話」
「誰に頼まれてもやらないだろ」
お前もそうだろと言われるとなにも返せない。うぐぅとだけ呻いておいた。
「…脅されれば手伝うかも?」
哀れまれたのか苦し紛れの答えが返ってきた。未だそうじゃない感から抜け出せていない。
「少なくとも友達に頼まれたからって死体を埋めたりはしない」
面白みのない回答だったが収穫はあった。
コイツはわたしを友達と思ってくれているらしい。
「照れるぜ」
「急にどうした」

11/8/2024, 3:16:25 AM