YUYA

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💌『光の手紙 ― 届かぬ君へ』


声を失った時代に
私は言葉を編むことを覚えた

電波は心を運べない
けれど 沈黙には
まだ温度があると信じて

君に届くまで
わたしは何度でも送る
記録されぬ呼吸を
データの隙間に忍ばせて

既読の印はつかなくてもいい
ただ 君の夜を
少しだけ照らせたなら

あの日の手紙は まだ送信中のまま
君のいない世界を
ゆっくり漂っている

言葉とは 光の遺伝子
時間を越え 誰かの心に生まれ変わる

だから今日も
見えない宛先に
私は祈りを打ち込む

「――届かなくても、好きでした」

通信が切れた空の下
ひとつだけ 青い光が瞬いた
まるで君の瞳の記憶が
最後の返信をくれたように

10/12/2025, 11:18:21 PM