孤都

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    『終わらせないで』


   僕の長い片想いが実ったのは、君の勝手で気まぐれ。

   半年前、君は彼女と喧嘩別れをした。

   その時、君はやけくそになり、偶然近くにいた
  親友である僕と勢いで交際に及んだ。

   僕の長い片想いは実った――望まぬ形だったけれど。

   交際といっても、やる事やって、
  他は⋯⋯この関係になる前と、なんら変わりはない。

   こうやって、君の都合と気まぐれで勝手な、
  望まぬ形の交際が始まったのにも関わらず、どこか
  嬉しく思った自分がいる。

   君といる時間は前よりも、格段に増えて、
  毎日が楽し過ぎて、ずっとこの関係が続いたら、と
  そんなことを考える日々を送った。  


   いつか、こんな日が来る――覚悟はしていた。

   
   半年経って、君にはちゃんと、女の子の好きな人が
  できたんだ。

   長い片想いが、実ったと思えば――。
   時間が経つと落ちて消える、線香花火のように――
  すぐに、消えてしまう。

   君は泣いて謝りながら、僕に別れを告げる。

   「大丈夫だ」と、笑って許すことしかできない。



   人の片想いを――勝手に実らせた責任、
  しっかり取れよ。


   勝手に始めた僕らの恋を、勝手に終わらせんな―― 。




11/28/2024, 10:38:47 AM