たーくん。

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ふわふわでキラキラに輝いている卵焼き。
今まで一番上手く焼けた。
この卵焼きを……大好きなあなたに届けたい。
今の時代だとスマホで写真を撮って送ればいいけど、やっぱり直接届けたいよね。
タッパーに卵焼きを入れ、彼氏の家へ向かう。
インターホンを鳴らすと、彼氏が出てきた。
突然家に来た私を見て、すごく驚いている。
「ど、どうしたんだ?急に来て」
……驚いてるというか、焦ってるようにも見える。
私は持ってきたタッパーを開け、卵焼きを見せた。
「見て見て!今日焼いた卵焼き!今までで一番上手く焼けたんだよ!」
「そんなのスマホで写真撮って送ってくれたらいいじゃないか。わざわざ来て見せなくても……」
「そんなのって……ひどくない?」
「用が済んだら帰ってくれ。今日は忙し――」
「ねぇ、誰よその女」
彼氏の後ろに、私と同い年ぐらいの女が現れた。
「と、友達だよ友達!なぁ!」
イエスと言ってほしそうな顔で私を見る彼氏。
「友達じゃなくて彼女よ!」
もちろんイエスと返事するわけなく、女に私と彼氏の関係をハッキリ言った。
彼氏は「あー……」と気まずい顔をする。
「はぁ?私が彼女よ!何言ってるのよ!」
女も自分は彼女と言い張り、一歩も引かない。
「私とあいつ、どっちが彼女よ!」
「「ねぇ!」」
私と女は、同時に彼氏に問う。
彼氏はしばらく黙り、ゆっくり口を開く。
「こっちが、俺の彼女だ」
彼氏が指を指したのは……彼氏の後ろにいる女だった。
悲しいよりも、怒りが沸いてくる。
「なによ!私の知らないところで浮気して!タンスの角に小指ぶつけて痛い目に遭え!」
彼氏にそう言い放ち、立ち去った。
帰り道、持ってきた卵焼きを食べながら自宅へ戻る。
彼氏への想いも、卵焼きも、すっかり冷めてしまった。

1/30/2026, 11:23:01 PM