ここは都会のオアシス
私は暑さの激しい、ビルの立ち並ぶ都会の中でとても心地よく過ごしている
屋外にありながらここはとても快適で、涼しい
そう、オアシスだ
都会の真ん中に、突如木が生え、大きな池が出てきたのだ
ここだけなぜか気温が低く、池の水はとてもきれいで健康上飲んでも問題はない
さらにここの水は信じられないくらい美味くて、それ目当てで飲みに来る人もいるくらいだ
私もすっかり、このオアシスへ通うことが日課のようになってしまった
なぜ、こんなところにオアシスができたのかはわからない
が、そんなことは心の底からどうでもいいことだ
ここは快適で、水が美味くて、心身を癒やすことができる
それだけわかっていれば十分だ
さて、しっかり休めたし、名残惜しいがそろそろここを出よう
また暑い都会に戻るのは残念だが、いつまでもここにいるわけにはいかない
おや?
立ち上がれないぞ
なんだか頭もフワフワしてきたような
うん?
いや待て、オアシスってなんだっけ?
なんだか目の前が歪んで……
「ここは?」
「ああ、よかった
意識がはっきりしてきましたね
ご自分の名前、わかりますか?」
私は促されるまま名前を言った
その後、様々なことを聞かれたり、促されたりして、ようやく状況がわかった
ここは病院だ
そうだ、私は暑さで倒れて、そのあと夢か幻覚か、都会のオアシスでくつろいだ気になっていたのだったな
どうやら熱中症にかかったらしい
そういえば水分をあまりとっていなかった
下手をすれば命を落としかねない危険な状況だ
これからはもっと気をつけねば
しかし、都会のオアシスか
あんなオアシスが都会の真ん中にあったら、この暑い夏も頑張れそうなのに
熱中症の中で見た、儚い幻だったな
7/27/2025, 12:10:01 PM