きらめき、キラキラ。
私の彼氏は、キラキラ。
「奈緒子〜、んじゃ部活行ってくるよー」
「はーい。いってらっしゃーい!」
彼氏の名前は桂馬(けいま)サッカー部に所属していてレギュラー。
顔もなかなかのイケメン。性格もイケメン。
私の彼氏。 私の好きな人。
「いいねー、毎日ああやってクラスが違っても挨拶しにきてくれてさ、」
こういったのは、私の友だちの真帆(まほ)可愛くて綺麗で大人な子。
「そうだよねー、さすがだよねー」
私は帰宅部のため、こうして桂馬の行ってきますを聞いてから帰っている。
「部活とか、見なくていいの?その瞬間、瞬間がカッコいいんじゃない?」
「うーん。いいの。私が居たら気になるだろうし、邪魔したくないんだよね」
「ふーん。そんなもんか。」
「そんなもんだよっ!」
私は好きだからと、ベタベタしたり、毎日の様に部活を見に行ったりはしない。
試合は見に行くけれど、普段はつかず離れずを自分なりにしている。
そうすれば、桂馬も部活に集中できる。
「……寂しくないの?」
「寂しくないよ。それに、部活が引退になれば今よりは傍にいられるもの」
私は、良い子すぎるのだろうか?
物分りが良すぎなのだろうか?
正直分からない。
けれど、好きな人だから、端っこで静かに応援していたい。
そう思う気持ちは、おかしいことなんかじゃない。
その時、
「おーーーい!奈緒子一!!」
思いっきり下から呼ばれた。
呼ばれた方へクラスの窓から下を覗くと、そこには桂馬と、桂馬の友達の丸山君がいた。
「何で大声で呼ぶの?恥ずかしいから辞めてっ!」
「あはは、ごめーん!今日時間あるなら、少しサッカー部の練習見てってよ!」
「……………え?い、良いの?」
「当たり前じゃんっ!俺のプレー見てってよ!」
「待ってるよー林さん!それと、真帆ー!」
「呼び捨てするの辞めてくれないっ!」
隣りにいた真帆が、丸山君に注意した。
「お言葉に甘えて、今日は見にいこうよ、奈緒子。」
「う、うん。」
「じゃあ!今から行くからっ!」
そう伝えた後、桂馬が余りにも嬉しそうに笑うからその笑顔にときめいたのは内緒。
また一つ、何気ない、キラキラが、きらめきが積もった瞬間だった。
9/5/2023, 1:12:21 AM