れもんしゅがー

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忘れられない。いつまでも

私は子供の頃食べたパンの味が忘れられない。
まあるいパン。
茶色い焦げ目がついていた。
綿みたいにふわふわだった。
半分に割るといちごジャムが顔をのぞかせる。
そのいちごジャムの甘い匂いと、焼きたての匂いがたまらなく好きだった。
特別なパンではない。
ごく普通のジャムパンだ。
おばあさんとおじいさんが2人で経営している店の。
しわしわの手がパンを上手にこねるのは見ていて夢中になった。
「また来てねぇ」と、
2人のくしゃくしゃの笑顔は誰だってまた行きたくなるだろう。

大人になった今、ふとそのことを思い出した。
そのパンが食べたい。
いや、またあの頃の温かさに触れたい。
猛烈にそう思った。
ふらふらと街を歩けば子供の頃を思い出して足が勝手に進む。
あの時の焼きたての匂い。
ふわっと香るパンの匂い。
パンをこねるしわしわの手。
忘れられない。いつまでも

5/9/2026, 1:27:07 PM