月が凪ぐ夜

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あなたと付き合う前に、私は1つだけ言ったね。

「私はあなたが好きだけれど、私の一番はもう決まっていて、それはたぶんこれからもずっと変わらない」

なんて卑怯でわがままな言葉だろうか。
けれどそれを隠すことができないくらいには、私はあなたのことが好きだった。…それは本当のこと。
一番にはできないけれど、それが何が障害なのかと問われれば――別に何もない。
あの人を追いかけるわけでもなく、この想いを告げるわけでもなく、あなたとあの人を比べるわけでも、ましてあなたへの気持ちがなくなるわけでもない。
だからあなたはそれでもいいと言ってくれた。

………結果は誰もが予想した通りだけれど。

愛する人の一番になれない。
その痛みを私は知っているはずなのに、それを押し付ける私はなんて酷い人間なのだろうか。
それでも私はこの事実を覆すことはできない。
もしもその事実をなくしてしまえば、私は私でいられなくなってしまうから。私はあの人なしでは「私」たり得ないものだったから…。

泣かないで、私の愛するあなた。
あなたは何も悪くない。すべての責は私にある。
それでもあなたに愛されたかった私の愚かさが、あなたを傷つけ、そして壊してしまった。

だから私は誰かを愛することを、
あなたで最後にすると誓うわ。

【1つだけ】

4/3/2024, 1:48:25 PM