街に季節外れの雪が降り積もった日
君は逝った
僕には宝物を1つだけ遺して
君が逝って
僕は君を忘れた
君は、少しずつ崩れていった
砂浜に建てた僕らの城は
打ち返す波に攫われ
世界へ希釈されていった
君の声の響きを忘れた
君の髪の香りを忘れた
君の肌の熱を忘れた
君の表情の移ろいを忘れた
君の唇の味を忘れた
だけど
君は君を遺した
久しぶりに会った君のお母さんが
君の欠片を僕に届けてくれたよ
どうして?
世界が君を連れ去っても
世界が僕の中の君を薄めてしまっても
僕が再生ボタンを押すたびに
君は何度だって甦る
あの砂浜に君が現れる
今度、あの子に君を逢わせたいんだ
君の声を聴かせてよ、ずっと
「−タイムマシーン−」
1/22/2023, 10:35:02 PM