300字小説
『友達』
昔、村の子供達の間で、窓辺にキャンドルを置いて、その光を皿や板で遮って、信号を送る遊びが流行ったことがあったんだ。
子供ながらに光の回数で伝えるメッセージを決めたりしてね。皆で夢中で信号を送り合った。
その時、誰かが森の方から青い光が同じようにメッセージを送ってくることに気がついてね。私達は彼も交えて毎晩、遊んでいたんだ。
しかし、その事を知った親達が領主様の元に出かけ、森に討伐隊が入って……。
森の入口の小さな花畑にじいさんが祈りを捧げる。
「討伐隊の騎士も親達も魔物が私達を誑かしていたと言ったけどね……。私達も彼も楽しいメッセージしか送り合ってなかった。彼は間違いなく私達の『友達』だったんだよ……」
お題「キャンドル」
11/19/2023, 12:14:15 PM