海月 時

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『ようこそ。故人図書館へ。』
「こんばんわ。相談乗ってくれる人だよね?」
『私は、ここの司書です。相談に乗るのは、専門外です。』
「それでさ。聞いて欲しいんだけど。」
『私の話は無視ですか。まぁ、いいでしょう。』
「世界は広い、何ていうのは間違ってるよね。」
『その心は?』
「実際の世界は、狭いよ。生と死、善と悪、男と女、全部が二択の分かれ道。何が正しいか分からないよ。」
『左様でございますか。それならば、死を選べばよろしいのでは?』
「何で?」
『死は、誰しもに与えられるものです。皆が通る道、それこそが正しいのでは?』
「なるほどね。確かにそうかも。」
『納得いただけましたか。ならば幸いです。』
「でも、死ぬのは怖いな。」
『この世で、一人で死ぬ者はいませんよ?それでも怖いなら、神にでも祈るのはどうですか?』
「何て祈るの?」
『そうですね。来世ではもっといい人間に作ってください、とかですかね。』
「なにそれ。良いね。」
『喜んでいただき幸いです。』
「僕の人生、楽しみにしといてね。バイバイ。」
『お待ちしております。』

『人生には複数の岐路があります。貴方様の前にも、岐路が立ち塞がるかもしれません。その時、どうなさいますか?私なら、岐路を絶つために、死にますかね。』

『本日も貴方様をお待ちしております。』

6/8/2024, 3:27:15 PM