流行曲で救えない命

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すっと消えそうな白い肌をなぞっていた。
指先に柔い感触とどうしようもない冷たさが返ってきて、ああ、もうこの体にいたひとはもう帰ってこないのだと静寂の中で現実味を帯びたあの人の死がわたしの頭の隅で揺れた。

赤色が滲んで目に刺さる。雪が赤色に触れて緩やかに溶け、まるでかき氷にかけられたシロップのようだった。
赤が雪に流れ出ていくのに比例して、ただでさえ白かったあのひとの肌が雪と同じ白に染まる。

失われていく、その事実を眺めていた。
「…………」
言葉は出なかった。言葉なんて、出るわけが無かった。
胸の奥で感情たちが言葉を得られないままに喉奥まで押し寄せ、結局言葉にならないまま呼吸だけが目の前の白い景色に溶けていく。
ただ、じっと眺めていた。慟哭さえもできないまま、眺めていたんだ。

1/7/2026, 11:52:36 AM