「この世界は」
この世界はもう直ぐ終わりを迎えます。頭の中で誰かが言った。到底信じられはしなかった。信じざるを得なくなったのは、翌日見た太陽があり得ない色に光っていたからだ。
あの日以来、太陽は毒々しく紫に輝いていて、昼でも薄暗い日が続いている。ネオンライトに照らされたような異様な街中に、尋常ではないことが起こっているのだと理解するのは早かった。
人々は恐慌し、治安も経済もめちゃくちゃだ。平和を失った世界は、確かに終わりに近づいているような気がした。
世界は確かに変わった。植物も動物も変容した。原因はおそらく紫の太陽だろうとされている。巨大化し、凶暴になった動植物はまるでゲームの中の魔物のようだ。
そんな中で、人間だけは変わっていないように見える。大きくも強くもなっていない。人間だけが世界の変化に取り残されて、まるで神様に見捨てられたようだと、考える人も多い。
この世界は、もう直ぐ終わりを迎える。この世界というのが人間社会のことだというならそうだろう。変化した世界に適応できていない人間は、すでに凶暴化した動植物に押し負けている。淘汰されるのも時間の問題だろう。
この世界はもう直ぐ終わる。しっかり鍵を掛けた部屋から街を眺める。昼とも夜ともしれない紫に染まった街が見える。夕焼けに赤く染まった街並みが酷く恋しい。
1/15/2026, 11:12:54 AM