きらの。

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耳を澄ますと

三階の窓から美しい歌声が聞こえてくる。
放課後の外の校舎沿いの道には多くの生徒が歩き回っている。ザワザワと常に音が聞こえる空間で、耳を澄ますと合唱のハーモニーしか耳に入ってこなかった。
一気に高音で盛り上げたところで、急に静かになり美しく細いが芯がある1人の歌声が聞こえ始める。
毎日その声を聞くために、放課後毎日この道を通っていた。顔も見たことなければ名前も知らない人のその歌にとても惹かれていたのだ。



「〜♩〜♩〜〜♩」
まだ眠たげに目を擦り、ベットから状態を起きあげると学生の頃と全く変わらない歌声が聞こえてくる。リビングにパジャマのまま行くと、キッチンでその鼻歌を歌っていた少女はゆっくりと振り返る。
「おはよう。」

5/4/2024, 3:02:27 PM