空が泣く
失恋した。浮気されて捨てられた。
「泣いていいよ」
話を聞いてくれた友達に慰められ、奥歯を噛み締め、頭を降る。
「っ泣かないっ…。いいの、私が泣かなくても、ほら」
窓の外を指す。外では雨が降りだした。
「よく、空が泣いてくれるって言うでしょ。だからいいの、私は泣かない」
なんてヒロインぶってみた。雨足はどんどん強くなり、バケツをひっくり返したような土砂降りとなった。
「…号泣じゃん。そんなに好きだった?」
「いや、そんなでもなかったけど」
この空は私の代弁ではなかったようだ。
9/16/2024, 11:41:00 AM