海の底に沈めた手紙

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「うわぁ、今回もたっくさんだ」

魔法カメラの中身を整理しようとアルバムを開くとそこには相変わらずどっさりと思い出が溢れていた。

ホグズミードの外、舞踏会、ホグワーツの外での写真もある。
何枚も厳選して残していると言うのに、厳選が意味ないくらいの思い出たちが視界に広がる。


「今年はラーレもテムズも一緒に花火を見に行ったんだっけね」

肩に乗り一緒に思い出を振り返るラーレが高い声で返事をした。

「ね、今年のも綺麗だったよね。」


毎年派手に打ち上がる花火は何回見ても圧巻の一言。花火の音も外の寒さも、ありとあらゆるものが写真からどんどん五感へ浮かび上がる。


(この時期、私元気なかったっけな。)

花火の音、外の寒さ、空に広がる光とともに浮かび上がるその時期の自分。
もちろん楽しい瞬間も多かった。それでもふとしたときに広がる胸の中の黒い雫は一滴で靄のように広がり、私を覆い尽くしていた。

苦しさも悲しさも、焦燥も疲労も昨日のように思い出す。

だけど、同時に。

隣にはいつも、幼馴染の姿があった。

そのときは自分のことで精一杯だったけれど思い返せばいつも独りではなかったように思う。

少し疲れたような顔をした自分の隣で穏やかに笑う幼馴染。
「大丈夫だよ、」と何回も伝えてくれた言葉がずっといまも響いている。
苦しさと同時にあたたかくて柔らかくて静かな優しさがあの時期を思い出す度に一緒に浮かび、彼がそばにいた意味が痛いくらいに泣きそうなくらいにじんわりと心に広がる

悲しいとき苦しいときも。
思い出すときさえ独りになんてさせない。

そんな強い想いを今更受け取ったような気がする。



「ピィ!」
「あ、そうだね、思い出に浸るんじゃなくて写真を選ぶんだよね!そうだった!」

特別な一枚を選ぶんでしょ?とラーレがくちばしで私の頬をつつく。
じわ、と滲んでいた視界を軽く拭いもう一度気を引き締める。


「さ、とっておきの一枚を選ぶよラーレ!」
「ピ!」





《これからも、ずっと》 

親友の証100日記念 HPMA side.T




4/9/2026, 9:59:30 AM