「これだから、人間は。」
金色の瞳の者は、吐き捨てるように言う。
「そのように人間と括るな。」
碧色の瞳の者は、金色を警告する。
「気持ちは分からなくも無いけど、その言い方は語弊を招く。」
銀色の瞳の者は、金色に共感しながらも、碧色を擁護する。
「われらが多様であるように、人間も多様だと私は思う。」
藤色の瞳の者は、丁寧に意見を述べる。
彼らの容姿は、まだ二十歳、そこらのように見える。
しかし、その雰囲気は歳を重ねた賢者のように威厳に満ちていた。
彼らが揃うと、それはまるで神々の会議のようだった。
「さあ、どう裁く。この人間たちを。」
金色は、冷酷な笑みを浮かべ、皆に問う。
「この管轄は、人間だろう。
われらが口出しすべきでは無い。」
碧色は、無表情で答える。
「しかし、この度の件はわれらにも被害が及んだ。
ならば、多少圧力を掛けるべきでは。」
銀色は、少し怒りの籠もった声で答える。
「この度の件、確かにわれらに被害が及んだ。
しかし、私の管轄には被害報告は無い。
私としてはもう少し全容の詳細を把握し、
思考を巡らす余地があるように思う。」
藤色は、冷静に穏やかに答えた。
「私は、即刻死刑に処すべきと考える。
戸籍ごと存在しないことにすべきだ。」
金色は、率直に述べた。
「貴殿の管轄に最も多くの被害が及び、
尚且つ、我々にも被害が有った事で、
今回の会議を開く事となった。」
碧色は、述べる。
「前置きは良い、さっさと貴殿の意見を述べよ。」
金色は、苛立ちながら述べる。
「まあ、そう焦らさなくとも。
そのように苛立てば人間のように愚かになる。」
銀色は、金色を諌める。
「しかし、この度の件はかなり複雑のようだ。
ここは、互いの得意とする分野ごとに分担しよう。」
碧色は、提案する。
「私は、その提案に賛成する。
金色は被害報告の内訳を、碧色は事の発端の解明を、
銀色は関係者の聴取を、私は人員を貸しましょう。
そして、私は全容をより明確に把握する役も担いましょう。」
藤色は、碧色の提案を具体的に述べた。
「異論は無い。」
銀色は、同意する。
「処罰対象の断罪及び刑罰は、私に最終決定権が有るなら異論は無い。」
金色は、同意を示すが、条件を付け加える。
「私の管轄のみに被害を齎した場合以外なら、貴殿の意見に賛同しよう。」
碧色もまた、同意を示すが条件を付け加えた。
「私は貴殿らが提示した条件及び、その提案に賛同しよう。」
藤色は、賛同を示した。
「私も賛同する。」
碧色は、賛同を示した。
「私も先ほどと同じく、賛同する。」
銀色もまた、賛同を示した。
「私も異論無く、右に同じく賛同しよう。」
金色は、賛同を示した。
気が付けば、夜は明けていた。
彼らは、同意書にそれぞれ署名し、シーリングリングを押した。
風の噂で、この度の件は解決したと聞いた。
彼らと人間、
双方共に禍根を遺さず、
双方共に合意を得た、最適解を導けたようだった。
2/6/2025, 1:33:21 PM