川柳えむ

Open App

「サンゲンレッド!」
「サンゲングリーン!」
「サンゲンブルー!」
「「「原色戦隊サンゲンジャー、参上!」」」
 サンゲンジャーは正義の味方。今日も悪い怪人共をギタギタに叩きのめす。

「……なぁ、なんで三人なんだ?」
 戦いが終わって休んでいるところを、グリーンが二人に訊いた。
 ブルーは溜息を吐いた。
「三原色がテーマだからだろうな。単なる原色がテーマならもっと人数がいたはずだ」
「シアン、マゼンタ、イエローを入れるのは?」
「光の戦士みたいな扱いにしたいんじゃないか?」
 二人で話し合っている。
 レッドはそれを横から止めた。
「グダクダ言ってもしょうがない。俺達三人で頑張るぞ!」
 しかし、二人の目は据わったまま。じろっとレッドを睨み付けた。
「戦隊モノって、大体五人じゃん! 少ないよ!」
「何ならもっとたくさんいるパターンもあるしな」
「全然足りない! 主に女の子が!」
「なんでムサイ男ばかりなんだ!」
「戦力の話は!?」
「女の子を入れろ!」
「そうだ! シアンちゃんとか、マゼンタちゃんとか、イエローちゃんとか!」
「全員女の子想定!?」
 二人の文句は止まらない。
「別に今は何色が女だっていいんだ!」
「そうだ! レッド、おまえ、女の子と変われ」
「変われ!? 何を無茶なことを……」
「交代が無理なら、改造がある。怪人共だって元は人間で改造されたって話もあるしな」
「え、ちょ、待て待て待て待て!!!!!!!!」
 二人の目に狂気の色が浮かんでいる。正気じゃない。
「アッ――!」
 レッドは敵の陣地に連れて行かれ、そして――。

 ――怖いのは怪人でも何でもない。人間なんだと、レッドは悟った。


『Red, Green, Blue』

9/10/2025, 10:40:01 PM