「ただ必死に走る私、
何かから逃げるように。」
大きな河に腰まで浸かり
泥濘む足元に息を乱されながら
足元を探るように進む。
この河の中では誰もが
立ち止まることは許されぬ。
得体のしれぬ獣の声のする方へ進むか、
あるいは死屍累々の澱みの中へ戻るか。
私の背中を押すものは
昨日までの後悔
私を手招きするものは
青白い顔をした亡霊のような私自身
自分の鼓動を友にして
ただ ただ ひたすら歩くのみ
足の裏に纏わりつく
ぬかるみの気持ちの悪さに
気づかぬふりをして。
何者かに足首を捕まれ
引きずり込まれるやもしれぬ恐怖を
考えぬようにして。
ただ必死に 弱き心のみが急くばかり
拠り所を持たぬ 心のみが走るばかり、
歩みは遅々として もどかしいばかり。
何かから逃げるように?
否
自分自身から逃げるように。
5/30/2023, 12:14:27 PM