たろ

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「初恋の日」

とても美しい横顔と精悍な体躯。
その美しさに息を呑んだのを鮮明に覚えている。

その体躯で、私の体を受け止めてくれたあなた。
いつだって穏やかな表情で、黙って私を見つめていた黒曜の瞳。
唐突に訪れた私を無碍にするでもなく、特別扱いするでもなく、じっと見守ってくれていた。

日頃のお礼と大好きな気持ちをあなたに伝えたくて、あなたが好きそうなモノを持って行ったのだけれど。
まだ幼かった私は、ソレがあなたの身体には毒になるとは知らなくて…。
きちんとしたお礼も謝罪も出来ないまま、時間だけが過ぎて行ってしまった。


ひどく雷が鳴って嵐のような夜があった。
その日は、一向に眠れなくて胸騒ぎがした。
そして、雷鳴轟く嵐のその夜、あなたは独りで虹の橋のむこうへと旅立って行った。

大好きなあなたに、たくさんの感謝を。
あなたがきっと、私の初恋。

5/7/2024, 2:52:59 PM