高校卒業の日。
君と二人、いつもの帰り道。
三年間毎日通った道。それなのに、今日はなんだか違って見える。
いつもなら他愛ない話をして、あっという間に家に着くのに、なんだか勿体なくて、お互い口数少ないままにゆっくり歩く。
道沿いの桜は咲き始めていて、きっと私達の門出を祝福してくれているのだろう。
でも、私の気持ちは晴れない。空も少し薄暗く、こちらは私の気持ちを表してくれているようだった。
あと少し、あと少し。この先の別れ道で、君とお別れする。
この道がずっとこのまま、永遠に続いていればいいのに。
それでも残酷にその時は終わってしまう。
「またね」
私は笑った。同時に、雨が降り始めた。
「またな」
君も手を上げそう言って笑った。
そぼ降る春の温かい雨は、私の涙のようだった。
『ずっとこのまま』
1/12/2024, 10:39:50 PM