冒険なんて嫌いだ。
どうせ失敗するんだから、失敗するのだったら最初から手を引いていた方がいい。
そう思うようになったのは、小学生のころ。
朝会で、クラスから1人ずつだれか将来の夢について発表することになった。僕はその時、やりたい、やってみたいと思い、手を挙げた。僕以外誰もいなかったから僕が発表する事になった。朝会の日が近づくにつれて、緊張、どきどき、色々な感情が入り混じって…
そして迎えた発表の日、僕は将来「冒険家」になりたいと発表した。冒険家になって、色々な景色を見たりしたかったのだ。そして発表が終わった瞬間、くすくすと笑い声が聞こえた。あれ、僕変な事言ったのかな、よく分からないまま朝会が終わり、教室に戻った時。
「お前なんかが、冒険家になれるわけねぇじゃん!」「夢見野郎(笑)」
え、僕って、そんな?
くすくす、くすくす…
僕はもうその時、決めた。“冒険”なんてしない。ってそしてそのまま僕は生きていった。
「ねぇ、作文の作り方教えて!!」
前の席のギャル、授業態度は上の下ってとこ。今僕は高校生、つい昨日作文の宿題があった。
やっぱりやってないんだ。偏見としか言いようがないけど、そう思っていた。
「別にいいけど、僕教えるの下手だよ」
「それでもいいから〜!!」
しょうがないのでギャルに教える事にした。
「ね、だっさい眼鏡くんー」
「夢見です」
「夢見?ゆめみんでいい?」
はぁ、ギャルと話すのはどうも疲れる。
「ゆめみんさぁ、役員とか書いてるけどさぁ本当は違うっしょ?」
なんで、知ってるんだよー・・と言ったら否定にはならないし、まぁでもいいか、僕がどうなろうと。
そうして僕は僕の事を全て話した。冒険家になりたかった事、冒険するのをやめた事。
「ふぅん。でもさぁ、ゆめみんはゆめみんでいいと思うよ?冒険家とか、格好いいじゃんー」
ギャルでも、そうゆう事言うんだ。僕はすっかり偏見に惑わされていた。
冒険、してもいい、のか、?
でもまた、何か言われるかも…いや、そんな事どうでもいい。発表した後にでも考えよう。
発表当時の日。僕はギャルの後だった。
「がんば、ゆーめみん」
「うん」
僕にはもう怖いものは何も無い。
だって僕の夢はー・・
「僕の夢は、」
「冒険家です。」
2/25/2025, 1:00:29 PM