この世界には時間がない、ことになってる。
街に時計がないから、どこにも時計がないから、昼も夜もないから、だから時間が無いことになってるけれども、この世界には普通に時間が存在する。権力者に向けて時計が支給されてるのがその表れであろう。
だからボクは時計に沿って生活する。
八時に起きて、支度をして、権力者タワーに行く。簡単な点呼と、前回報告後からの変化とかを連絡したらご飯を食べて住人の観察。権力者タワーから見て右側の住人に絞っている。
全員見終わったら大体十二時。自分の家に帰ってご飯を食べる。休憩と称して一時まで休む。
一時を過ぎたら住人の見回り。権力者タワーから見て左側をタワーから1番遠いところから見て回る。
そうすると三時くらいに演奏者くんが住んでる広場にたどり着く。
彼と話して、演奏を聴いてわちゃわちゃと戯れて。
そうして別れたら残りの住人を見て回ってタワーに戻って報告書書いて終わり。
残りも自由時間。
演奏者くんには時間の概念がないから、だいたいで生きてる彼にいい時間で寝かせて、ボクも家に戻って終わり。
寝る時間は十時くらい。
それが今の日常なのだ。
前は違った。
ずっとずっとタワーにいて、ずっとずっと洗脳の訓練をして上手くいかなくては怒られてた。
だから、演奏者くんが来て、ボクの日常は充実してしまった。酷い話だ。
いつか彼がいなくなったら、ボクはどうやって生きていこうか、なんて考えてしまう。
6/22/2024, 1:37:23 PM