《半袖》
季節は夏。ジリジリとした日光に喧嘩を売りたくなる季節。
夏の窮屈な補講が早く終わり、早く帰れると喜んで後先飛び出した自分が恨めしい。
歩きながら腕時計を見る、帰りのバスが来るまでかなり時間がある。
とりあえずバスが来るまで、隣の公園の日陰に避難するか。
俺はバス停横の自然公園に足を向けた。
コンクリートで舗装された道路と違い。遊具より樹木の数が数十倍多い公園は入った瞬間、緩やかで冷たい自然風が俺を出迎えてくれた。
「涼しい~~。」
俺は公園内のよく生い茂った大木の近くにあるベンチに腰をかけ涼んだ。
ズボっ。
突然自分の脇が一気に冷たくなり、猫の様に跳びはねてしまった。
「お〜、良い反応ね。」
「……先輩何するんですか!。」
振り返るとそこにはワンピース姿の先輩がイタズラが成功したガキ大将みたいな笑顔で立っていた。右手にはラムネの瓶を持っており、きっとあれを俺の脇に突っ込んだんだ。
5/29/2024, 7:20:33 AM